御成敗式目は鎌倉幕府の時代に作られた法律で有名ですよね。
しかし、どのような内容の法律で、誰が何の目的で作ったのか、知っている方は少ないようです。
わたしも、学生の時習っただけで、今となっては内容まではまったく覚えていません。
そこで、御成敗式目とは、誰がどんな目的で作った内容の法律なのか、わかりやすく解説します。
法律の内容はわかりやすくジャンル分けしてご紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
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御成敗式目とは
御成敗式目とは、1232年に作られた日本で初めての武家法です。
そんな御成敗式目を以下の項目で紹介していきます。
- 作った人
- 作った目的
誰が作ったの?
御成敗式目を作ったのは北条泰時です。
北条泰時は鎌倉幕府の3代目執権だった人物で、第2代執権を務めた北条義時の長男でもあります。
幼少期から利発的で、優しい性格も合わさって人望の厚い人物でした。
鎌倉幕府を開いた源頼朝とも親しく、成人になった時には一時的に「頼朝」から一時取って、北条頼時と名乗っていました。
その後、北条義時がなくなって、源頼朝の妻である北条政子から執権に命じられます。
こうして北条泰時は1224年に執権に就き、死ぬ直前まで執権を務めていました。
その執権時代に北条泰時は、叔父・北条時房と一緒に御成敗式目を作ります。
北条時房とは北条時政の子供で、鎌倉幕府初代連署(執権の補佐)を務めていた人物です。
そんな人物とある目的のために御成敗式目の制定をします。
その目的について、次章で詳しくご紹介します。
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目的
御成敗式目が作られた理由は武家社会を安定させるためです。
御成敗式目が作られる前までは、東日本を武家、西日本は朝廷が支配していました。
お互いににらみ合った状態が続きましたが、1221年に争いが起きます。
この戦いが承久の乱です。
承久の乱で、後鳥羽上皇が鎌倉幕府の二代目執権である北条義時に敗北しました。
こうして、戦いに勝った鎌倉幕府は全国にその支配を行き渡らせます。
しかし、武家社会になったことで、東と西では価値観が違うという問題が発生しました。
例えばいきなり世界が一つに統一されても、価値観や言葉などが異なるので、問題が発生しますよね。
それと同じことで、ある地域では問題にならなかった行動も、他の地域では罰せられるというトラブルが起きていたのです。
これから日本を一つに統一していく中で、こういった価値観の相違は戦いの種にもなります。
そこで作られたのが御成敗式目です。
武家社会を安定させるため、全国統一の法律を作りました。
法律のおかげで、価値観の相違がなくなっていき、徐々に落ち着いていきます。
このように御成敗式目は、東日本と西日本で異なる価値観を統一させるために作られたのです。
基準がない時は法律を作ってあげることも大切ですよね。
仕事でもあいまいなルールで作業すると、失敗したり問題になったりします。
その問題を防ぐために、御成敗式目が作られていたのですね。
では、武家社会の安定させることになった御成敗式目の内容を見ていきましょう。
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御成敗式目の内容
御成敗式目の内容はこちらです。実際は51条あるのですが、ジャンル別に分けるとこのようになります。
全てを知る必要は無いので、これらの項目に分けて、それぞれ代表的な法律を見ていくことにしましょう。
- 土地
- 財産
- 道徳
- 守護・地頭の職務内容
- 裁判
- 家族制度
御成敗式目には、大きくこの6つの項目について記載されています。
土地
御成敗式目には土地に関する以下のことが記されています。
- 一度相続した土地でも親が返してほしいと言えば返せる
- 子供のいない女性が養子をもらって土地を相続する
ここで注視すべきは女性の権利が認められていた点です。
御成敗式目には、子供のいない女性でも養子がいれば、土地を相続できるとあります。
他にも、租税徴収・軍役・守護に当たる管理者である地頭の中には女性もいました。
このように鎌倉時代には、女性にも権利がありました。
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財産
御成敗式目には財産について以下の記述があります。
- 夫の罪でも妻の財産は没収される(罪が故意で行った場合に限る)
- 逃亡した農民の財産を奪ってはいけない
- 理由もなく他人の領地を奪って財産を強奪をしてはいけない
現在でも通用することが多く書かれています。
財産を盗んではいけないというのは、現代でも当然のことです。
しかし、争いが多かった鎌倉時代にこの法律ができたのは偉業と言えます。
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道徳
御成敗式目には、道徳を重んじて日常生活を営むことも記述されています。
御成敗式目で定めた法律を守って、それに違反すると罰せられるというものです。
当然と言えば当然の話ですが、ルールは守らなければ意味がありません。
現代にもたくさんの法律がありますが、守られていないことも多いですよね。
トラブルを失くすためには、そのあいまいな部分を正すことが重要です。
その点についても記載しているので、御成敗式目が徹底していることが分かりますね。
守護・地頭の職務内容
御成敗式目の第3条には、守護の権限に関する3つの法律について書かれています。
この3つは大犯三か条と呼ばれていて、数ある御成敗式目の中でも特に大事です。
そんな大犯三か条には以下のものが含まれます。
- 大番催促
- 謀反人の逮捕
- 殺害人の逮捕
大番催促とは京都大番役や鎌倉番役を催促する権利のことです。
京都大番役とは鎌倉時代にあった五家人役の一つで、主に六波羅探題が統括して、内裏の警備に当たっていました。
謀反人・殺害人の逮捕は、悪いことをしたら捕らえられることを意味しています。
そして、御成敗式目の第4条には「守護が罪人から所領を没収してはいけない」という式目が記載されています。
これがあることで守護人が、権利を悪用できなくなる仕組みです。
そのうえ、第5条では「年貢を納めない地頭は処分する」という厳格な式目も加えられます。
このように御成敗式目には、権力者に対しても厳しめの法律が課されているのがポイントです。
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裁判
御成敗式目には、裁判を行う場所は記されています。
- 民事裁判…門注所
- 刑事裁判…侍所
- 鎌倉市中の民事裁判…政所
- 近畿地方の裁判…六波羅探題
このように問題によって裁決する場所が異なります。
例えば土地や財産は民事で、殺人や殺害なども揉め事は刑事です。
そして、問題が発生した場所でも裁判の場所が異なっていました。
家族制度
御成敗式目には、家族に関する以下のことも記載されています。
- 男も女も親に対する恩は同じ
- 父母の気持ち次第で相続した土地を別の子供に相続できる
- 夫の死後に妻がすぐに再婚するのは良くない
- 夫の死後に子供がいない場合は養子を迎えて領地を相続させても問題ない
このように家族に関する法律も細かく決められています。
現代でも家族間の問題は起こりがちですよね。
このように御成敗式目は家族問題も考慮して作られています。
あらゆる問題を想定して作られている御成敗式目のすごさが分かりますね。
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御成敗式目について、その目的や作った人から内容にポイントを絞って解説してきました。
勢力を東から西へと広げていき、統一した法律を作る必要性に迫られて「御成敗式目」が誕生しました。
今では当たり前のようなことも多いですが、当時では先進的な法律だったため、徹底させるのもとても大変だったことが想像がつきますね。